日本有機地球化学会が発行する学会誌Researches in Organic Geochemistryに主著論文が掲載されました。

地衣類の中でも汎存種であるハナゴケ（別名：トナカイゴケ）が産するステロイド化合物に対して, 天然における有機物の堆積物中での変化（熱熟成）を模した人工熱熟成実験を行い, その生成産物と過程を議論した論文になります。

主に真菌類の細胞膜を構成するステロール, ergosterolの熱熟成産物としてC₂₈のcyclosteroidやanthrasteroidが検出されたことは, 堆積物からも報告例のあるこれらの化合物の起源や堆積有機物の熱履歴を議論するうえで一考に値すると考えています。

詳細は論文を参照ください。

Masashi A. Ikeda, Ken Sawada (2025): Steroids of lichen and their diagenetic derivatives: Experimental simulation of thermal alteration of lichen steroids. Researches in Organic Geochemistry 41, 1–14. https://doi.org/10.20612/rog.41.1_1